自社の停電だけでは済まない
「波及事故」のリスクと対策
高圧受電設備をお使いの事業主・施設管理者の皆様、「波及事故」という言葉をご存知でしょうか。 自社設備内で発生した電気事故が原因で、近隣一帯を大規模な停電に巻き込んでしまう重大な事故のことです 。
事故が発生すると、社会的信用の失墜だけでなく、多額の損害賠償を請求されるケースもあります 。

1. 波及事故とは?その恐ろしい影響
波及事故とは、自社の高圧受電設備などで起きた事故が送配電事業者の配電線にまで影響を及ぼし、周辺の住宅、ビル、工場、病院、公共機関などへ停電が広がる現象を指します 。
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社会への甚大な被害: 病院の医療機器停止、信号機の消灯による交通事故、他社工場の操業停止など、社会的インフラをマヒさせる恐れがあります 。
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莫大な損害賠償: 事故対応の人件費や自社設備の改修費に加え、被害を受けた他社からの損害賠償額が1,000万円を超える事例も存在します 。
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設置者の法的責任: 波及事故は設置者の責任が問われる重大な事故であり、全国で毎年300〜500件も発生しています 。

2. 事故の主な原因
波及事故の約**98.6%**は、電気設備の「主遮断装置よりも電源側」で発生しています 。
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保守不完全・経年劣化(約69%): 最も多い原因です。長期間の使用による絶縁性能の低下や、部品のさび・腐食が事故を招きます 。
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自然災害(約14%): 台風や地震、雷による機器の破損 。
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鳥獣の接触(約7%): カラスの営巣や、ネズミ・ヘビなどの小動物がキュービクル内に侵入し、ショートを引き起こします 。
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故意・過失: 工事中のケーブル誤掘削など 。

3. 未然に防ぐための「防止対策ポイント」
事故を未然に防ぐためには、日頃の点検と適切な時期の設備更新が不可欠です 。
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適切な保守点検の実施: 保安規程に基づいた月次点検に加え、停電を伴う「年次点検」を確実に行い、電気主任技術者からの助言を受けましょう 。
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計画的な機器更新: 多くの機器は10〜20年が更新の目安です 。さびや変色、異音などの予兆がある場合は、推奨時期前でも早急な更新が必要です 。
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「GR付高圧交流負荷開閉器(PAS/UGS)」の導入: 万が一事故が起きても、停電を自社構内だけに食い止め、外部への波及を防ぐ最も有効な対策です 。
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環境対策: 通気孔にパンチングメタルを設置して小動物の侵入を防ぐ、アンカーボルトで外箱を固定して地震対策を施すなどの物理的な処置も重要です 。

万が一事故が発生してしまったら
もし波及事故が発生した場合は、至急、電気主任技術者および送配電事業者(東京電力等)へ連絡してください 。 また、事故発生後24時間以内に「電気事故速報」を、30日以内に「電気事故報告書」を所管の関係官庁へ提出することが法律で義務付けられています 。

貴社の設備は「安全」と言い切れますか? 波及事故のリスクをゼロにするために、今一度、受電設備の総点検と更新計画の見直しをご検討ください。
